つらい痛風にならないための尿酸理解【医師が監修】

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尿酸って聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

きっと痛風になった事がある人なら1度は耳にした事があるでしょう。

 

「ビールの影響が…」

「ウニとかイクラとかを食べると増えるんでしょ?」

 

といったことをご存じの方も多いと思います。

また定期健診などの血液検査で、「尿酸値」について医師より指摘を受けたことはありませんか?

 

「若い頃は検査に引っかかることがなかったのに、年齢が上がると共に健診でひっかかる項目が増え、気がつくと精密検査が必要に…」

 

という状況の人も少なくないでしょう。

この記事では、“尿酸値の異常を指摘され心配になり、尿酸に関する情報を集めているという方”へ、まずはこの「尿酸」がどういうもので、体内でどのように作られるのかなど基本的な情報を解説し、そして尿酸値が高い状態になると人体にどのような影響を及ぼすのかをお伝えします。

 

  1. 尿酸とは
  2. 尿酸が作られ排泄されるまでのメカニズム
  3. 尿酸値とは
  4. 高尿酸血症
  5. 高尿酸血症の本当の怖さ
  6. 高尿酸血症の予防・治療
  7. まとめ

 

尿酸とは

まずは尿酸の説明です。

尿酸体内の古い細胞が壊れ、新しい細胞と入れ替わる際にでてくる老廃物です。

医学の歴史を振り返ると、この尿酸はなんと膀胱結石(ぼうこうけっせき)の中から最初に発見されたのです!

膀胱の中の石の成分を調べているときに、尿酸という嫌な物質が析出(せきしゅつ)していることが分かったのです。

 

尿酸は一概に“悪いもの”という訳ではなく、体の新陳代謝(しんちんたいしゃ)が続く限り必ず体内で発生するもので、ある程度の量であれば問題ありません。

しかし、過剰な量の尿酸は問題を引き起こします。

老廃物である尿酸が体内にあるのは当たり前のことであり、その量は生産と排泄がうまく行われることによりバランスを保っているのです。

尿酸が作られ排泄されるまでのメカニズム

尿酸の原料は「プリン体」です。

プリン体は、“人間の生命活動のエネルギー源であり、遺伝情報を持っている核酸(かくさん)”が分解された「残りカス」のような物質です。

ヒトが食事をとり、それを消化・代謝し、そして運動する時のエネルギーとして消費する際に核酸が分解され、プリン体が生成されるのです。

さらにこのプリン体が肝臓で分解され、最終的に尿酸が生成されます。

 

正常な場合、尿酸は血液に乗って腎臓(じんぞう)へと運ばれ、オシッコと一緒に排出されるか、腎臓で再度体内に吸収されるというメカニズムで体内の量が調整されています。

 

今お伝えした通り、尿酸の原料となるのがプリン体でありますが、プリン体の代謝・運動によるエネルギー消費の過程で作られる尿酸の割合は全体の約80%で、残り約20%食事が影響しています。

普段の食事で摂取する食べ物に含まれているプリン体により約2割の尿酸が作られているということですが、逆に言うと、尿酸の約8割がもともと体内にあるプリン体から作られているということは意外ではないでしょうか!?

尿酸値とは?

これまでのお話しから尿酸はプリン体から作られることが分かったと思いますが、その血液中の値である尿酸値とは一体どういう意味を示すのでしょうか?

その数値の意義を考えていきましょう。

 

こちらも先ほどお話ししましたが、尿酸は血液尿の中に溶け込んで体の中に存在しています。

このうち尿に溶け込んでいる尿酸はそのままオシッコと一緒に体の外へ排出されます。

一方で、健康診断の時に測る尿酸値は血液中の尿酸の値なので、専門的には血清尿酸値(けっせいにょうさんち)」とも呼ばれています。

ほとんどの動物では尿酸は尿とともに体外へと排出されますが、ヒトを含む一部の霊長類では尿酸が蓄積されやすく、その値が健康を左右することから「尿酸値」が健康診断のチェック項目の1つとして設定されているのです。

尿酸値の基準値(適正値)

そんな尿酸値の単位には“血液1デシリットル中に何mgの尿酸が存在しているか”ということを表す「mg/dl」が使われています。

そして健康診断などでの尿酸値の正常範囲は一般的に

 

  • 成人男性…3.4~7.8mg/dl
  • 成人女性…2.4~5.6mg/dl

 

と言われていますが、厚生労働省が定めた値では正常値の上限が「7.0mg/dlとなっています。

この数値は、血中溶解量(けっちゅうようかいりょう)という血液中にある物質が溶けることができる限界の量をもとに設定されています。

すなわち尿酸の血中溶解量が7.0mg/dlであり、それを超えると人体に悪影響が出ると考えられているのです。

それでは、この尿酸値が7.0mg/dlより高い状態になると人体にどのような影響が出るのでしょうか?

高尿酸血症

体内で生産される尿酸の量オシッコで体外へ排出される尿酸の量は、通常は同じくらいの量であり、体内の尿酸値は一定に保たれています。

ところがさまざまな生活習慣が要因となり、

 

  • 尿酸が過剰に量産される
  • 尿酸の排出量が減ってしまう
  • その両方が同時に起きる

 

といった状態に陥ると、体内に留まってしまう尿酸の量が増えてしまいます。

そこで引き起こされるのが高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)という病気です。

高尿酸血症におけるこれら3つのタイプは、上から

 

  • 尿酸産生過剰型
  • 尿酸排泄低下型
  • 混合型

 

と呼ばれています。

高尿酸血症は女性よりも男性の方に圧倒的な多さで発症することが分かっていますが、これは女性ホルモン「尿酸を排出しやすくする」という効果があるためで、女性の高尿酸血症は比較的少ないと言われています。

 

先ほどご説明した通り、尿酸値が「7.0mg/dl」を超えると高尿酸血症と診断され、症状が長期化することで尿酸が体内で結晶化していきます。

このように血液中に溶けることができなくなって発生した尿酸の結晶が諸悪の根源です。

 

関節の中に尿酸が結晶化された場合は痛風とよばれる非常に痛いご病気になってしまいます。

風が吹いただけでも我慢できないほどの痛みが出ます。

 

腎臓に結晶が蓄積されると痛風腎(つうふうじん)という腎臓の病気を発生します。

そうなると老廃物をろ過する機能が低下するため腎不全(じんふぜん)を引き起こし、そのまま放置すると将来的には透析(とうせき)が必要となります。

 

また尿管をはじめとする尿路に結晶が沈着してしまうと、これまた非常に強い痛みを伴う尿管結石(にょうかんけっせき)を引き起こす原因になります。

高尿酸血症の本当の怖さ

このように“蓄積された過剰な量の尿酸が結晶化することによって発症する病気”だけではなく、高尿酸血症は他にも様々な病気を引き起こすと言われています。

ここに高尿酸血症の本当の怖さがあるのです。

例えば

 

  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • メタボリックシンドローム

などといった生活習慣病を引き起こすことも少なくありません。

 

さらに、高尿酸血症のもう1つの怖さは「自覚症状がない」ということです。

高尿酸血症は、年に一度の健康診断で指摘されて初めて気が付くという人も多い病気です。

さらに健康診断で引っかかっても自覚症状がないため放置されやすく、動脈硬化が促進されたり、脳卒中・心臓病など命に危険を及ぼす取り返しのつかない合併症へと発展させる可能性を高くしてしまうのです。

知らぬ間に症状が悪化死に近づいていくというのは、考えただけでも恐ろしいものです。

高尿酸血症の予防・治療

そんな高尿酸血症ですが、ウニ・イクラなどの贅沢な食事ルコールの飲み過ぎなど普段の生活におけるちょっとした悪習慣発症してしまうことを、ぜひ心の片隅においてください。

健康な体であり続けるには日頃のちょっとした注意の積み重ねが大事になってきます。

もし健康診断で尿酸値に異常が見られた場合には、今までの生活習慣を振り返る良い機会と考えて、健康的な食生活を積極的に取り入れるチャンスにしましょう。

 

また、食生活などの生活習慣を改めても改善しない場合はすぐに街のお医者さんを受診してください。

尿酸を下げるお薬を飲むことで、しっかりと尿酸値をコントロールすることができます。

痛風、痛風腎、尿管結石をはじめとした尿酸に関連するご病気にならないためにも、きちんと尿酸値のコントロールを行ってもらいましょう!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は健康診断で身近な話題になる尿酸の本当の恐ろしさをお伝えしました。

最近の研究では、尿酸値は先ほどお話しした生活習慣も大事な要因ですが、遺伝的要素も強いといわれております。

簡単に言えば体質です。

 

“尿酸値が高くなりやすい体質の人はいくら生活習慣を改善しても尿酸値が下がりにくい”

 

ということになります。

そのような場合に活躍するのが私たち医師になります。

適切なお薬を処方させていただくことで、スムーズに尿酸値を下げることができますので、尿酸値が気になる方はぜひ近くのお医者さんを受診するようにしてください!

 

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【参考文献】

  1. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン改訂第3版
  2. 成人男性女性の尿酸基準値:独立行政法人国立病院機構水戸医療センター臨床検査値基準一覧
  3. Feig, Daniel I., Duk-Hee Kang, and Richard J. Johnson. "Uric acid and cardiovascular risk." New England Journal of Medicine 359, no. 17 (2008): 1811-1821
  4. Johnson, Richard J., and Bruce A. Rideout. "Uric acid and diet—insights into the epidemic of cardiovascular disease." New England Journal of Medicine 350, no. 11 (2004): 1071-1073.

  1. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
  2. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji