救急車のサイレンが実は事故を多くしてた!?

Medivery


人が死にそうなとき、救命活動の第一歩となる救急車

救急車は、1分1秒でも早く現場に到着して救命活動をはじめなければなりません。

そのため、サイレンを鳴らして走っているのです。

しかし、実はそのサイレン、

 

「逆効果かもしれない!?」

「事故を起こしやすくなってしまっている!?」

 

ってこと、ご存じでしたか?

最近、救急車を呼ぶ際に

 

「近所迷惑になる」

「目立ちたくない」

 

といった理由で、患者さんから「サイレンを鳴らさないでほしい」という要望が少なくないようです。

しかし、“こんな非常識なような要望が実は理にかなってしまっていた…”という意外過ぎる事実が出てきました。

 

今回は“救急車がサイレンを鳴らしている理由”と、“サイレンを鳴らしながら走ることで生じる悪影響”を、科学論文を使ってお話しします。

そんな論文がある事自体、驚きでもありますが、、、

 

  1. 救急車のサイレンの必要性
  2. サイレンの目的
  3. サイレンの落とし穴
  4. まとめ

 

救急車のサイレンの必要性

さて早速本題へ入ります!

“自分が救急車を呼ぶことを想像した時、近所の方の視線って気になりますか?”

サイレンの音を気にする人はかなり多いです。

 

「近所から注目されてしまう…」

「後日、周りから噂されてしまう…」

 

中にはそのように考える方もいるかもしれません。

では実際サイレンを鳴らさずに救急車に来てもらうことは可能なのでしょうか?

結論から言えば、救急車はサイレンを鳴らさずに出動することはできません

理由は簡単で、法律で定められているからです。

救急車が緊急車両として走行する場合に、「サイレンを鳴らし、かつ赤色の警告灯を点灯しなければならない」と決まっているのです。

サイレンの音量についても法律の定めがあり、サイレンを発する緊急車両の前方20メートルの位置で、90デシベル以上120デシベル以下となること”と定められています。

救急車が赤信号を進行することができ、ほかの車両を追い越して現場に急行することができるのも、この要件を満たしているからこそなのです。

サイレンの目的

ではサイレンには何の目的があるのでしょうか?

これは皆さんご想像の通り、“緊急車両であることを周囲に知らせ、衝突事故を防ぐため”です。

法律上、緊急車両は信号や道路標識の規制に縛られないことになっています。

そういった“一般の交通ルールを逸脱した走行”をしなければいけないため、交通事故を起こさないように周囲に緊急車両が近づいていることを感知させ、事故を未然に予防しているのです。

 

では実際、サイレンを鳴らし、赤色灯をつけながら走行すると交通事故は減るのでしょうか?

2019年に掲載された論文で、アメリカ(アニメーター:国旗をお願いします)の大規模データを基にした研究が驚愕の結果を教えてくれています。

サイレンの落とし穴

2016年アメリカ全土で発生した全1,900万件救急搬送のデータを用いて、

 

  • サイレンと赤色灯をつけた時の救急搬送
  • サイレントと赤色灯をつけていない時の救急搬送

 

における“衝突事故”確率を比較しました。

その結果、「救急要請があってから現場に向かうフェーズ」では、

 

  • サイレンと赤色灯をつけた場合の事故率は10万件中5.6件
  • サイレンと赤色灯をつけなかった場合の事故率は10万件中4.6件

 

サイレンと赤色灯をつけない方が事故率は低いのです。

 

また、「現場で患者さんを収容し病院へ向かうフェーズ」でも

 

  • サイレンと赤色灯をつけた場合の事故率は10万人中17.1件
  • サイレンと赤色灯をつけなかった場合の事故率は10万人中7.0件

 

と、こちらもサイレンと赤色灯がない方が事故率は低いのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

アメリカ全土で発生した 1,700万件のビッグデータを解析すると、救急車がサイレンを鳴らして緊急出動すると交通事故のリスクが増加するという事実が浮かび上がってきたのです。

 

“事故を起こさないように鳴らしているサイレンが、逆に事故の原因となっている”

 

というのは悲しい話ですよね…

現在の法律ではアメリカでも日本でも“救急車はサイレンや赤色灯をつけないと緊急車両として走行できない”となっておりますが、“交通事故のリスクを考えるとこの法律も検討が必要である”と論文の筆者は警告しています。

いつの日か完全自動運転が実現すればこのような問題も解決するかもしれませんが、それまではこの問題を日本でも議論する必要があると考えられるのです。

 

今回は以上となります。

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【参考文献】

  1. Is Use of Warning Lights and Sirens Associated With Increased Risk of Ambulance Crashes? A Contemporary Analysis Using National EMS Information System (NEMSIS) Data

【監修医師】

  1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
  2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/