お金があったら本当に幸せか?【実は学歴も幸せに関係する】

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「お金があったら本当に幸せですか?」

 

これは我々が社会生活を営む上で非常に大きなテーマとなります。

一見して「お金=幸福」というスケールで考えてしまいがちですが、そこには色々な要素が絡んでくるため一概にそうと言えないのが実情です。

今回は、お金と幸福の心理学について、医学論文を使ってお話ししていきます。

 

  1. 収入と幸せに関する調査
  2. カーネマン博士の研究結果
  3. なぜ年収がおおければ多いほど幸福度が上がらないのか?
  4. まとめ

 

収入と幸せに関する調査

まずは、収入と幸せについての相関関係を調べた研究から見ていきましょう。

2019年内閣府の発表した「満足度・生活の質に関する調査 第一次報告書」に、世帯収入と生活への総合的満足度についての報告があります。

この調査では「幸せ」という言葉は使っていませんが、国民の幸福感を表す調査なので、総合主観満足度=幸せと置き換えて考えます。

その結果が下のグラフです。

満足度・生活の質に関する調査 第一次報告書

【満足度・生活の質に関する調査 第一次報告書】


総合的な満足度という極めて感覚的な質問にも関わらず、綺麗なグラフになっていることがわかります。

この研究からは「世帯年収が”2,000 万円~3,000 万円”までは年収の上昇に応じて総合主観満足度が高まるが、ここで頭打ちし、それ以上の年収があっても、総合主観満足度はゆるやかに逓減する。」ことがわかります。

カーネマン博士の研究結果

先ほどの研究は日本の内閣府からの発表ですが、これに先立つ米国の調査でも似たような傾向が示されています。

2002年ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学名誉教授カーネマン先生2010年の研究結果を紹介します。

この研究によると

 

「幸福度(Emotional Well-being)」は収入が増えるに応じて上昇するが、ある金額まで達するとそれ以上は頭打ちとなり、収入と幸福度の相関関係がなくなる」

 

という結果になりました。

頭打ちとなる金額は母集団によって変わりますが、米国人45万人対象の調査では年収7万5千ドルが幸せの頭打ちでありました。

そのオリジナルの調査結果から導き出されたのが次のチャートになります。

カーネマン博士の研究結果

【カーネマン博士の研究結果】


示されているデータのうち、

 

  • Positive affect
  • Not blue
  • Stress free

 

の3つがいわゆる幸福感を示す指標として定義されたもので、図でみるように7万5千ドルのラインで飽和しているのが分かります。

この発表をもとに、日本でも米国における7万5千ドルを円換算、あるいは日本の実態に合わせて翻案することで、

 

  • 年収700万円が一番幸せ
  • 年収900万円を超えると不幸になる

 

といったような予測が立てられていました。

なぜ年収がおおければ多いほど幸福度が上がらないのか?

何故、年収が増えても無限に幸福度が増していかないのかということについては、限界効用曲線というものが知られています。

ものすごく分かりやすくいうと、お腹が空いているときの1膳目のご飯はとても美味しいけれど、同じご飯でも2膳目、3膳目となると美味しさを感じにくくなってしまう感じに似ています。

もとは経済学の理論ですが、身の回りの多くのことに当てはまる法則です。

確かに、ある程度の年収帯になれば生活に困る感じは少なくなるでしょうし、欲しい物もほぼ手に入るようになってくるので満足してしまうであろうことは、容易に想像がつきます。

その意味では、日本人も世帯年収2千万円あたりまでは年収を増やすことに注力することは効果がありそうではあります。

 

ただし、もう一つ見落としてならないのは、年収があがると幸福度の上がり方が緩くなるというポイントです。

つまり、年収が増えるにつれ年収増の割には満足度や幸福度の上昇度はそれほどでもないということです。

年収200万円から300万円になったときの喜びは、年収1200万円から1300万円になったときの喜びよりも大きいというのは、分かる気がします。

一方、このような「幸せだなぁ」というような気持ちとは別に、カーネマン先生の研究では「人生に対する評価(Evaluation of Life)」についても調査しており、こちらは年収および学歴と強い正の相関があることがわかっています。

つまり年収が高いほど、また学歴が高いほど、自分の人生に対する評価は高くなっていたのです。

先ほどのチャートで太い線で示されているのが人生に対する評価の値で、年収が増えるにつれ増加しているのが分かります。

つまり収入に関しては、

 

  • 年収が増えるにつれて自分の人生を高く評価する度合いは高まる
  • 幸福感はある年収額を超えると高まってはいかない

 

という結論になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はお金と幸せの関係性について医学論文を使ってお話ししました。

お金に対する価値観や幸福の感じ方は人それぞれですが、医学論文からその真理を紐解くと、ある一定の年収を超えると必ずしも幸せが保証されているわけではないことがわかりました。

この記事を読んで、お金に支配されない、自分らしさを追求できる本当の幸せを見つけるきっかけになれば幸いです。

 

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ありがとうございました!

【参考文献】

  1. 内閣府 満足度・生活の質に関する調査
  2. Kahneman D, Deaton A. High income improves evaluation of life but not emotional well-being. Proceedings of the national academy of sciences. 2010 Sep 21;107(38):16489-93.

【監修医師】

  1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
  2. 小山翔平: 整形外科専門医