【知らないとマズイ】アナフィラキシーショックを起こしたらまずやるべきこと

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アナフィラキシーという言葉をご存じでしょうか。
「食べ物のアレルギーやハチ刺されで、アナフィラキシーを起こすと命の危険があるらしい」ということ自体を知っている人は多いと思います。特に最近では「新型コロナウイルスワクチンでアナフィラキシーになった人がいる」という報道などで見聞きされたことのある方もいると思います。
ここで質問です。
もし実際に家族や知人が目の前でアナフィラキシーを発症した場合、適切な対処方法はご存知でしょうか?
この記事では、前半でアナフィラキシーの症状や原因を、後半で対処法について解説します。

 

  1. アナフィラキシー とは?
  2. アナフィラキシーが起こるしくみ
  3. アナフィラキシーの原因とは?
  4. 新型コロナウイルスワクチンとアナフィラキシーショック
  5. 家族がアナフィラキシーショックを起こしたら
    • エピペンの使用
    • 救急車の要請
    • 食物アレルギーの場合
    • ハチに刺された場合
  6. 日頃からの注意で可能な限り予防を
  7. まとめ

 

 

      アナフィラキシー とは?

      アナフィラキシーとは、アレルギーの原因物質(花粉など)が身体に入ってからすぐにアレルギーの症状が現れる過敏反応のことを指します。症状としては、じんましんなどの皮膚に出る症状、腹痛や嘔吐、息苦しさなどの症状が同時に出現します。
      また、「アナフィラキシーショック」という言葉もありますが、こちらはアレルギー症状に加えて、血圧低下や意識障害などの重篤な症状をともなう状態のことを指します。そのためアナフィラキシーはすぐに対処しなければ生命を脅かす状態となり、最悪の場合、死に至ることもあります実際に2014年以降のデータを見ると、日本では年間50~70人程度がアナフィラキシーショックで亡くなっているということが確認されています。

      厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況|人口動態統計 死亡数,死因(死因基本分類)・性別」の情報を基に作表


      アナフィラキシーが起こるしくみ

       アナフィラキシーの原因はさまざまですが、もっとも多くみられる原因は、「食物」「ハチの毒」「医薬品」です。一般的にアナフィラキシーは、有害なウイルスや細菌から身を守る免疫システムのエラーによって起きます。通常、ウイルスや細菌などの異物が体内に入ってくると、からだは「抗体」という武器を作って応戦します。たとえばハチ毒のアレルギーで「IgE抗体」という抗体がつくられた場合、からだは次に同じ毒が入ってくるときに備えます。しかし、再びハチ毒が入ってきたときに、前回作られた「lge抗体」が過剰に反応してしまい、からだにさまざまな反応を引き起こしてしまうことがあります。なかでも複数の臓器や全身に症状が現れ、命の危険をともなうものがあり、これを「アナフィラキシー」と呼びます。
      また、無害なはずの食品成分に対してIgE抗体を作ってしまう体質の人もいます。食品アレルギーを持つ人がアナフィラキシーを重篤化させることがあるのはこのためです。
      食物が原因の場合、具体的には以下の2タイプがあります。

      ① 口腔粘膜でアレルゲン(原因物質)が吸収され、5分以内に口やのどがイガイガするなどの粘膜症状、その後他の症状が現れるタイプ
      ② 小腸からアレルゲンが吸収され、30分~2時間経ってから症状が現れるタイプ

      アナフィラキシーの症状は、数分から数時間以内に現れますが、その多くが30分以内です。また初期症状が現れてから10分~30時間後に遅れて再び症状が現れることもありますので、注意が必要です。医薬品の場合、注射の薬(特に血管内への注射)は飲み薬に比べて症状出現が早いため、注意が必要です。


      アナフィラキシーの原因とは?

      アナフィラキシーの症状が出てしまう要因も人それぞれです。
      まず、年齢に関することで言えば、思春期から青年期において食べるものの種類が増えて行くことや、成人して飲酒を始める際などに、それまでの人生で摂取・接触しなかった物質に触れる機会が多くなります
      薬に関することでいえば、女性の場合、仮に健康体で大きな大病を患ったことがないという方であっても、妊娠・出産期で治療に使われる薬の投与などがあり、その薬がアナフィラキシーの要因となる場合もあります
      性別差のないところで言えば、加齢にともない何かしらの不調や病のために薬を服用することが多くなることが考えられ、こうしたことが自ずと薬に対するアナフィラキシーを起こす確率が増すことにつながっていきます。
      また、ぜんそくなどの呼吸器疾患や心血管疾患を持つ人、アレルギー性鼻炎、アレルギー性の湿疹を持つ人は、そうでない人と比べてアナフィラキシーを起こす確率は高いと言えるでしょう。このほか、医薬品によるアレルギー反応の既往、食物アレルギー(特に卵・牛乳)、アトピー性皮膚炎、風邪などの急性感染症も、アナフィラキシーを引き起こす原因として挙げられていることが報告されています。
      あまり知られていないところでは、食後に激しい運動をした場合、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」というものを引き起こすことがあり、じんましんに始まり、呼吸困難が生じてショック状態に至る、という場合もありえます。


      新型コロナウイルスワクチンとアナフィラキシーショック

      新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの接種が全国で始まって久しいですが、アナフィラキシーショックが起きたニュースを耳にする機会も出てきました。厚生労働省の資料によると、たとえばファイザー社製ワクチンのアナフィラキシー報告状況は次のようになっています。

      (厚生労働省「国内でのアナフィラキシーの発生状況について|P7. アナフィラキシーの報告状況について(ファイザー社製COVID-19ワクチン)」を基に作図)

      国によって頻度にばらつきがあることが見受けられますが、厚生労働省の分析では、

      ・日本の報告数は、医療機関からの報告数そのものであることから(中略)アナフィラキシーに該当しない可能性がある。
      ・海外においては、接種開始当初は報告の頻度が高かったことや、丁寧に報告を求めた研究報告においては、発生頻度が高かったとの報告もある。
      ・海外においては、接種対象者の背景が我が国と異なる可能性(日本は医療従事者に加えて高齢者にも接種)がある。

      (引用:厚生労働省「国内でのアナフィラキシーの発生状況について|P10.国内でのアナフィラキシーの発生状況について」)

      また、同じ資料内で厚生労働省は、「2021年3月11日までに報告されたアナフィラキシーは即時に処置が行われ、全て軽快または回復した」としています(※3)。

      いずれにしても新たに承認されたワクチンであることと、またワクチンも医薬品であるということから軽視することはできませんが、現時点で国民の1億人以上の人が少なくとも1回のワクチン接種を行っているという結果から、今後新たに報告されてくるであろう調査結果を見守ってく必要があります。


      家族がアナフィラキシーショックを起こしたら

      ここからはより具体的なお話をさせていただきます。
      もしご家族の中で、食後や薬剤の投与後、またはハチに刺されたあとに次のような症状が現れた場合は、アナフィラキシーが疑われますので、早急の対応を取ってください。

      ・エピペンの使用

      「エピペン」とは、アナフィラキシーが現れたときに使用する補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)です。医師の治療を受けるまでのあいだ、症状の進行を一時的に緩和することができるため、エピペンを所持している場合は、ただちに使用してください。アナフィラキシーを起こすリスクが高い人には事前に処方されていることもありますので、もし自分が持っている場合には、その旨を周囲の人に告知するようにしましょう。

      ・救急車の要請

      明らかに緊急性が高いと思われる場合には、真っ先に救急車を要請するようにしてください。またもし呼吸や脈が止まっているときには、心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)を行ってください

      ・食物アレルギーの場合

      食物アレルギーの場合は、食べた物を口から出し、口をしっかりとすすがせてください

      ・ハチに刺された場合

      ハチ毒の場合は、何より優先すべきは近くにハチがいない場所へと避難することです。
      安全が確保できる場所に移動したのち、まずは刺された部位を確認し、毒針が皮ふに残っているようであれば、自分に刺さらないように注意しながら除去してください。

      日頃からの注意で可能な限り予防を

      アナフィラキシーの予防で最も重要なことは、原因となるアレルゲンを特定し、回避することです。どのアレルゲンが原因になるのかは人によって異なるため、確定するには血液検査や皮ふテストなどの検査が必要となりますもしもアナフィラキシー体質と診断が出た場合、可能ならアドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方してもらいましょう。先ほども触れましたが、いざという時には周りの人にエピペンを使用してもらう必要がありますので、周囲への周知を行うと主に、原因物質や医薬品を記載した名刺サイズのカードを持ち歩くことも積極的に行ってください。なお、ハチ毒などではアレルゲン免疫療法による治療が可能な場合があります。いずれの場合もアレルギー専門医へ受診してください。また、喘息の方は、激しい運動で発作を起こすことがあるため、注意が必要です。アトピー性皮膚炎の方は、皮膚を強くこすらないように気をつけ、長時間日光を浴びないようにします。食物依存性運動誘発アナフィラキシーになったことがある方は、原因となる食べ物を避けることに加えて、食後3時間以内の運動を控えた方がよいでしょう。(※4)
      体調が思わしくないときはアナフィラキシーが起きやすくなります。普段から体調管理に気をつけておくことが肝心です。

      まとめ

      いかがでしたでしょうか。今回はアナフィラキシーの症状や原因、その対処方法についてお伝えしました。アナフィラキシーは常に注意する必要があるものでありもし起こった際は周囲の人の手助けが必要になることもあります。この記事をきっかけにアナフィラキシーを起こしたことがある人だけでなく、周りの人がアナフィラキシーを起こした際に理解を持ってもらえるきっかけになれば幸いです。

      メディバリー大学病院では、コメント欄で記事にして欲しい内容も募集しています。健康や原因不明の症状で悩んでいる事があれば、
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      【参考文献】

      https://www.sumirin-ht.co.jp/oyakudachi/health/007885.html

      ※1 厚生労働省資料「重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシー」
      ※2 厚生労働省資料「第2回アレルギー疾患対策推進協議会 2016年2月12日(金)食物アレルギー|P5.食物アレルギーにおけるアレルゲンの吸収と症状出現」
      ※3 厚生労働省「国内でのアナフィラキシーの発生状況について|P10. 国内でのアナフィラキシーの発生状況について」
      ※4 広島県医師会「知っておきたいアナフィラキシーの正しい知識」

      【監修医師】

      1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
      2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/

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