膵臓がんとは?【糖尿病と喫煙でリスク激増】

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すい臓がんと聞くと、みなさんどのような印象をお持ちでしょうか?身近にはあまりいらっしゃらないでしょうから、なかなかぴんと来ないと思います。しかし、実はすい臓がんは意外と身近に潜んでいるのです。

2017年にがんで亡くなった人は男性: 220,398人、女性: 152,936人の男女合計: 73,334人でした。 そのうち、すい臓がんで亡くなった人は男性: 17,401人、女性: 16,823人で、男女合わせて 34,224人もおられるのです。部位別でみると、女性では大腸がん・肺がんについで3番目に死亡者数の多いがんとなっており、男性では5番目に多い臓器です。

そのすい臓がんは、実は末期になるまで症状が出てこない、怖いがんということでも有名です。がんが進行し大きくなり、全身に転移して初めて症状に気付くという人も多いため、治療成績が思うように上がらないのがすい臓がんなのです。

今回はそんなすい臓がんを早期発見できるように、すい臓がんの初期症状を中心にお送りします。

 

  1. すい臓とは
  2. すい臓がんの危険因子
  3. すい臓がんの初期症状
  4. すい臓がんが進行すると
  5. まとめ

 

すい臓とは

まずはすい臓について説明していきます。外観は洋ナシを横にしたような形をしていますが、その洋ナシ型の臓器の中を膵管(すいかん)という管が網の目のように走る構造となっています。下の模式図の中で、左側のふくらんだ部分は膵頭部、右側の幅の狭い部分は膵尾部、真ん中は膵体部と呼ばれます。

すい臓の働きは、大きく分けると

  • 外分泌: 食物の消化を助ける膵液をつくる
  • 内分泌: インスリンやグルカゴンなど血糖値の調節に必要なホルモンを産生する

という2つになります。 

膵液は、先ほどお話しした膵管の中を通って主膵管という1本の管に集まり、肝臓からすい臓の中に入ってくる総胆管(そうたんかん)と合流し十二指腸へ流れこみます。ちなみに、すい臓にできるがんのうち、90%以上は膵管の細胞に発生し、すい臓がん=膵管がんととらえてください(すい臓の腫瘍には他にも、膵嚢胞性腫瘍と呼ばれる「IPMN」「MCN」、膵内分泌腫瘍といわれる「P-NETS」などの種類がありますが、ここでは割愛します)。

また、先ほど申し上げた通り、膵臓は膵頭部・膵体部・膵尾部に分類され、すい臓がんを手術するときは、がんの位置や広がりによってこれらのどこを切除するかが決まります。

【すい臓の模式図】


すい臓がんの危険因子

すい臓がんを起こす危険因子としては、

  • 糖尿病
  • 膵炎
  • 胆石症
  • 喫煙(生活習慣)
  • 遺伝

などがあげられています。これらのうち、喫煙は特に重要な危険因子であるといわれています。

また、すい臓の炎症を繰り返し起こす人はすい臓の細胞ががん化しやすくなりますので注意が必要です。すい臓の炎症を繰り返してしまう病気のことを慢性膵炎と呼びますが、慢性膵炎の危険因子はお酒(アルコール)です。そのため、すい臓がんのことに着目するとお酒もタバコも危険因子になってくるのです。

さらに、糖尿病がある人はすい臓がんのリスクが健康な人よりも高くなると言われています。実際に2013年頃に公表された調査結果では、糖尿病の人がすい臓がんになるリスクは健康な人の1.85倍という報告がなされています。ただし、現在ではさらに研究が進んではいるものの、明らかな因果関係が解明されていないのも事実です。

糖尿病とすい臓がんの関係についてはまだまだ未解明な部分が多いのですが、参考までに現在わかっていることをお伝えします。糖尿病の中でも、成人になってから発症する「2型糖尿病」の人の方がすい臓がんになりやすいと言われており、特に2型糖尿病の発症リスクである

  • 暴飲暴食
  • 肉食傾向
  • 肥満
  • 喫煙

などの生活習慣が、すい臓がんに関係すると考えられています。このような生活習慣の方が健診などで血糖値の異常を指摘された場合、糖尿病だけでなくすい臓がんが隠れている可能性も考えられるのです。場合によっては

  • 腹部超音波検査
  • 大腸内視鏡検査

など、精密検査が必要となることがあります。血糖値の結果が心配な場合は、消化器内科や消化器外科などの専門医に相談してみるとよいでしょう。また、元々糖尿病がある人は、

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法
  • 禁煙
  • 節酒

などにより、血糖値を良好にコントロールすることですい臓がんの予防にもつながるといわれています。

すい臓がんの初期症状

すい臓がんは、早い段階では特徴的な自覚症状がありませんすい臓がんの方が受診した理由を調べてみると、

  • 胃のあたりや背中が重苦しい
  • 何となくおなかの調子が悪い
  • 食欲がない
  • 体重が減った

などといった「漠然とした症状」が多いようです。このような症状は、すい臓がんでなくても起こりえる一般的な消化器の症状であり、必ずしもすい臓がんの特徴的な症状であるとはいえません。

このようにすい臓がんの初期症状としてあげられる特徴的な症状はないのが現状ですが、すい臓がんに関連のある症状として「黄疸」があります。 黄疸は、膵頭部で増殖した癌により総胆管が圧迫され詰まってしまい、肝臓で作られた胆汁が十二指腸の中に流れ出なくなることで見られる症状です。十二指腸の中に排泄できなくなった胆汁は血液に取り込まれ全身に運ばれます。その胆汁の色が黄色味を帯びているため、全身が黄色っぽくなってしまうのです。黄疸による体の変化としては、

  • 皮膚や白目が黄色くなる
  • 体全体のかゆくなる
  • 尿の色が濃くなる

などが見られるようになります。

この黄疸という特徴は、総胆管が詰まるほどがんが進行した時に出る症状のため初期症状とは言い難いのが現状です。すい臓がんは初期症状に乏しく、すい臓がんと分かった時にはすでに進行していることが多い怖いがんです。気になることがある人は早めに医療機関に受診するようにしましょう。

すい臓がんが進行すると

すい臓がんが進行してくると、

  • お腹の症状
  • 背中の痛み
  • 食欲不振
  • 体重減少

などが見られるようになります。お腹の症状として上腹部痛はもっとも多くみられる症状です。また背中の痛みは食事や運動などには影響されず、常に強い痛みが背中に現れます。これは、膵臓の周囲にたくさん存在している神経にがんが浸潤(がん細胞が広がること)することで生じます。すい臓がんが進行するほど痛みも強くなるといわれています。

また、食欲不振と体重減少もすい臓がんに特徴的な症状です。すい臓がんが進行し十二指腸や腸管へ浸潤していくと、食事をしても十分な栄養を取ることができず、徐々にやせて衰弱した状態になります。これを医学用語で悪液質といいます。こうなると、消化に必要な酵素の分泌能が低下し、さらに食欲が減退してきます。

さらに糖尿病がある場合は、

  • 糖尿病が急激に悪化する
  • 血糖コントロールが悪くなる

などの変化が見られます。元々糖尿病ではない人でも、血糖を自分でコントロールできなくなってきます。

このように、すい臓がんは黄疸や腹痛などの理由で受診される場合が多いとされています。すい臓という臓器が、おなかの深いところで胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆のう・脾臓などの多数の臓器の後ろに隠れているため、検査などでも見つけにくいのです。ただ検診を受けていただき「なんとなく悪い場所がないかな~?」と探すだけでは見つかりずらく、「すい臓がんかもしれない!?」と意識して検査をしないと発見しにくいのです。

  • 自覚症状が少ない
  • 進行が早い
  • 5年生存率が非常に低い

という嫌な特徴をもつことから、消化器がんの中でも手ごわいがんの1つとされています。どの部位も同様ですが、すい臓がんはなおさら早期発見が重要であり、早期の治療が大切になります。

まとめ

いかがでしょうか?

「すい臓がんの初期症状」というタイトルとは裏腹に、すい臓がんには特徴的な初期症状がないことを開設させていただきました。

「タイトルで釣るんじゃない!」

と怒られそうですが、それでもすい臓がんの危険性をお届けするためにじゅうようなことであったためこのようなタイトルとさせていただきました。ご容赦いただければ幸いです。

 

今回の記事は以上となります。

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【参考文献】

  1. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
  2. 周東寛, 松本浩史, 根岸正充, 松下野枝, 花田佳典, 酒井敬子, 高桑啓輔, 滝沢健司, 周東千鶴, 野口久, 井上健. 膵臓癌の早期発見について. 日本未病システム学会雑誌. 2004 Aug 30;10(1):75-8.
  3. 祖父尼淳, 糸井隆夫, 土屋貴愛, 辻修二郎, 鎌田健太郎, 池内信人, 田中麗奈, 梅田純子, 殿塚亮祐, 本定三季, 向井俊太郎. 膵臓癌早期発見のストラテジー. 日本消化器病学会雑誌. 2015 Aug 5;112(8):1484-91.

【監修医師】

  1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
  2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/