風邪をひくとどうして発熱するのか?そのメカニズムを解説【医師監修】

Medivery


こんにちは、メディバリー大学病院です。
今回は、「風邪を引いた時の発熱のメカニズム」についてお伝えします。
このブログでは医師監修の元で病気や健康について発信しています。興味をもたれた方はブックマークをしていただけると嬉しいです。

 

      1. 《発熱と風邪の関係性》

        • 〈目的①:ウイルスの活動を抑える〉
        • 〈目的②:免疫機能の活性化〉
      2. 《発熱のしくみ》
        • 〈①ウイルスが出す毒素〉
        • 〈②内因性発熱物質〉
      3. 《発熱は体力を消耗する》
      4. 《発熱は我慢するのがいいの?》
      5. 《風邪薬ってなに?》
      6. 《かぜを治すために必要なこと》
      7. 《かぜをはやく治す》
      8. まとめ

       

          《発熱と風邪の関係性》

          みなさん、風邪を引いた時に発熱したことはありますよね。少し温度が上がっただけだというのに、悪寒がしたり、よく眠れなくなってしまったり、トイレに行くだけなのに息も絶え絶えになったりと、発熱のない風邪と比べるとその症状は大きく違ってきます。
          日本人の平均体温は、およそ36.9℃前後と言われており、表面などでは人それぞれまちまちですが、体の中の温度は全体的にほぼ変わらないとされています。ではなぜ37℃前後になっているのかというと、私たち人間が生きていく上で必要とするエネルギーやタンパク質などを最も作りやすい温度が37℃であるから、というのが一般的な見解です。ですがかぜを引いた時はこの体温が上がってしまいますよね。それはなぜなのでしょうか。その発熱の目的と仕組みに分けて見ていきましょう。

          〈目的①:ウイルスの活動を抑える〉

          かぜは上気道、つまりのどから入ってくるウイルスの感染によって起こります。そしてこのウイルスにとって、人間の平熱である37℃程度の温度が最も増殖しやすい温度である、という特徴を持っています。そのため人間の体はウイルスの活動を抑え、増殖させないために体温をあげて対応しているということです。

          〈目的②:免疫機能の活性化〉

          ウイルスを退治するため、人間には免疫という機能が備わっています。そしてウイルスを退治するための免疫細胞は、人間の体温が上がることでその働きを強める特徴があります。

          以上の2つの理由からウイルスが弱くなる環境を作り、かつウイルスを退治する免疫が動きやすい環境を作るために人の体は体温を上げているということになります。相手が弱くなり、かつ自分が強くなる環境にするという方法で、自分の身を守ろうとしているのです。

          《発熱のしくみ》

          体が体温をあげる目的はわかりましたが、ではどうやって体温を上昇させているのでしょうか。見ていきましょう。そもそも人間の体温は、脳の一部である視床下部という場所が体温調整をするようになっています。かぜを引いた時には、ウイルスが入ったことで発熱物質がこの視床下部に作用し、体温の設定温度を上げてしまうのです。つまり脳で発熱のスイッチが押されるわけです。このスイッチを押す発熱作用は二つあります。

          〈①ウイルスが出す毒素〉

          ウイルスに感染すると、そのウイルスからトキシンという毒素が出されます。この毒素がスイッチを押すことで、人間の体は戦闘態勢を整えるために発熱するようになります。「毒素にとっては発熱されると動きずらい状況になるんだから、スイッチを押さないようにしたほうがいいんじゃないの?」と思われる方、大正解です。現在の医学でも、なぜトキシンが発熱のスイッチを押すのかはまだわかっていないことの一つです。また、かぜウイルスの中にはこのトキシンを出さない種類もあり、かぜを引いても発熱しない風邪があるのはこのウイルスの種類の違いが関係しています。

          〈②内因性発熱物質〉

          もう一つは人間の体が元から持つ物質です。ウイルスに感染すると、対抗するための白血球やマクロファージなどの細胞が活性化されるため、インターフェロンやサイトカインと呼ばれる発熱物質が作り出されます。これらの物質がスイッチを押すことで、発熱が始まる仕組みになっています。

          《発熱は体力を消耗する》

          これまでご紹介してきた発熱の仕組みは、薬やワクチンといったものがない時代から、熱を出して体温をあげ、自分自身の体でウイルスなどと戦うしか方法がなかった人類が築き上げてきたレガシーともいえます。私たち人類の歴史の中で、繰り返し戦ってきた細菌やウイルスなどとの争いの結果、生き残る術として自然に身についたのが発熱という防衛策です。
          しかしながらこの体温をあげる作業には大変たくさんのエネルギーが使われています。また熱が出たことで、寒気がしたり、あるいは頭痛・ダルさと言った症状が引き起こされます。これらは熱を上げるための、あるいは熱が上がったために起こるもので、これらも含めて体力を激しく消耗することになってしまいます。そのため発熱自体は体の防御反応ではあるものの、同時に体力を大幅に奪っていくために体には大きな負担となり、悪影響を及ぼす可能性も孕んでいます

          《発熱は我慢するのがいいの?》

          「発熱は自分を守る機能。だけど体力が奪われ負担となる。病院からは解熱剤を貰ってるけど、どうしたらいいの!?」と思った方がいたらすみません。発熱時は程度によって対応が異なってきます。もし体温がそこまであがらず、あるいは我慢ができる範囲の発熱であればそのままでも問題ありません。ただし、体力は間違いなく消耗してますので、余計なことはせずに安静にしておく必要があります。逆に、体温の程度にかかわらず「発熱が辛くて日常生活もままならない」という場合には、無理せずお薬などを飲んで熱を下げてください。この状態はすでに体力を消耗している状態で、放置してしまうと食事でエネルギーを補給することもできず、睡眠もできなくなったりと、体力の回復を行うことができません。このままでは、容態が悪化してしまうこともあります。かぜを治すには自分の体力と免疫力でウイルスに打ち勝つことが必要ですから、解熱剤などを使って食事や睡眠を取れる状態にまで持ち直し、そこで回復した体力でウイルスを退治していきましょう!

          《風邪薬ってなに?》

          かぜのウイルスは多種多様で、「熱を出すタイプ」「喉が腫れたりするもの」「鼻水が止めどなく流れるタイプ」などがあります。こう言った場合、どのようなかぜ薬を飲めばいいのか、判断は難しいですよね。ドラッグストアなどではさまざまな市販のかぜ薬を扱っていて、症状ごとに分けて販売されています。配合されている成分などで効き目が違うこともあるため、どれを選んだらいいか判断が難しい方は薬剤師や登録販売者に相談し、体にあったものを見つけるようにしてみましょうただ、 「持病に高血圧や糖尿病、心臓や腎臓の病気がある方」「高齢者」「発熱が3日以上続く場合」「いったん熱が下がったのにまた熱が上がる場合」などは、単なるかぜではない場合も考えられるので医療機関を受診するようにしてください

          《かぜを治すために必要なこと》

          かぜのウイルスは世界中に存在して、世界の国の数の分だけ、あるいはそれ以上に民間療法が存在しています。日本でいうところの「喉にネギを巻きつける」とかですね。効果の有無についてはあえて否定はしませんが、まず何よりもかぜを治すには「とにかく体を休ませること」が必要です
          ちなみに皆さんは、体調が悪い時やかぜを引いた時に医者がなぜ睡眠をとるように指示を出すか、考えたことはあるでしょうか?実は「体を休ませる」というのは、「起きてたら無駄な体力を使うから、寝ておきなさい」ということなんです。発熱時にはエネルギーを摂取する食事すら辛いことが多いですから、少なくとも無駄なエネルギー消費はさせないようにするための指示だったんですね。そのため先ほども触れましたが、解熱剤や氷嚢などで熱を下げるのは「眠れるようになって無駄なエネルギーを消費させないようにする」という意味でも効果があります。
          犬や猫、あるいは自然界の動物も体調が悪い時はじっと動かずに寝ていますが、本能としてそれが最も回復に有効的である、ということを理解しているからです。

          《かぜをはやく治す》

          これまで熱について、そして睡眠についてお伝えしましたが、最後は体力をつけるための食事についてです。
          かぜを引いて寝込んだ時に食べるものといったら、日本人であれば真っ先に思いつくのはおかゆですよね。エネルギー源としてはもちろんのこと、発熱時には大量の汗をかきますから、脱水に注意する必要があります。また「消化にいいものを」ということも皆さんご存知だと思いますが、消化という行為にも人間は体力を使用しますし、何より消化が悪いものはその栄養を吸収するまでに時間もかかるため、いいところが全くありません。水分補給も含めてですが、おかゆやスープのような
          ・水分
          ・消化にいい
          ・吸収が早い
          といった食事を、無理のない範囲で摂るようにして、必要であれば解熱剤を飲み、余計な体力を消費させないためにもしっかりと寝る
          これがかぜを長引かせずに治す方法です。

          まとめ

          いかがでしたでしょうか。今回は我々が発熱する身体のメカニズムについてお伝えしました。発熱が外敵と戦うサインであり必要な反応であるとともに我々の身体にとってもダメージになってしまう、いわば諸刃の剣のようなものです。この記事をきっかけに発熱について詳しくなり、身体を守りつつ外敵と戦えるよう、諸刃の剣をうまく使いこなせるような知識がつけば幸いです。

          メディバリー大学病院では、コメント欄で記事にして欲しい内容も募集しています。健康や原因不明の症状で悩んでいる事があれば、
          ぜひ、コメント欄でお知らせください。
          この記事がためになった、面白いと思った方は、高評価とブックマークをしていただけますと、今後の活動の励みになります!最後までご覧になっていただきありがとうございました。

          【監修医師】

          1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
          2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/

          最先端の医学研究に関連する記事

          【がんと診断されたら】入院前から手術後までの流れを解説します

          【がんと診断されたら】入院前から手術後までの流れを解説しますの画像

          【がんと診断されたら】入院前から手術後までの流れを解説します

          一般的に、がんと診断されてから実際に治療が始まるまでは、何度か病院に通い必要な検査を受けます。また入院が必要な場合には、病院の所定の窓口で入院の申し込みをします。この期間は風邪などをひかないように体調を整えておくことは必要ですが、基本的には、これまでどおりの生活で大丈夫です。ただしほかの病気がある場合や、がんの種類や治療の内容によっては、食事制限など生活面での注意が必要な場合もありますので、事前に担当医や看護師に確認しておくことが必要です。

          【要注意】悪い油・糖質・塩分を取り過ぎると、血管の中は●●します!

          【要注意】悪い油・糖質・塩分を取り過ぎると、血管の中は●●します!の画像

          【要注意】悪い油・糖質・塩分を取り過ぎると、血管の中は●●します!

          動脈硬化、脂質異常症、高血糖、高血圧。皆さん一度は聞いたことがあると思いますが、これらがどのようなメカニズムで起こっているのかはご存知ないかもしれません。これらの疾患は、悪い油のとりすぎ、糖質のとりすぎ、塩のとりすぎによって起こります。
          今回の記事では、悪い油・糖質・塩をとりすぎたときに血管の中で何が起きるのか、また、それぞれどのくらいの摂取量が適切なのかを解説します。

          仕事や勉強を手っ取り早く終わらせる脳の鍛え方3選

          仕事や勉強を手っ取り早く終わらせる脳の鍛え方3選の画像

          仕事や勉強を手っ取り早く終わらせる脳の鍛え方3選

          みなさんは日々の仕事や勉強で「効率が上がらない、うまく行かない、捗らない」と思ったこと、ありませんか?なんども同じ失敗を繰り返し、「以前に比べて記憶力が落ちたなぁ」と思ってしまう人もいると思います。このようなお悩みは脳の記憶の一部であります「ワーキングメモリー」という仕組みを理解することから始めていきましょう。そしてそのワーキングメモリーを鍛えることで解決することができるかもしれません。