【絶対に知って欲しい】急性白血病の初期症状や治療法を解説!【医師監修】

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白血病がどんな病気かご存知でしょうか?
最近ですと、競泳女子の池江璃花子選手が2019年に発症し、一時はオリンピック出場が絶望視されたことなどもあり、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。白血病は年齢や健康状態にかかわらず、10万人に2~3人の割合で誰にでも発症する可能性がある「血液のがん」のことを指します。そもそも血液には、

・酸素を運搬する赤血球
・主に細菌やカビ、ウイルスを攻撃する白血球
・血管の壁に張りついて出血を止める血小板
といった「血球」と

・液体である血漿(けっしょう)
で構成されていますが、白血病は血液の中の”血球のがん”、特に白血球のがんの事を指します。
そもそも白血球を含む血球は、骨の中にある骨髄の中で作られているのですが、白血球の製造工場に異常が発生し、白血病細胞と呼ばれるがん細胞が作られてしまう状態のことを白血病と呼びます。このがん細胞が血液や骨髄の中に異常増殖してしまう白血病ですが、病状の進行速度の違いで、
・急激に進行する急性白血病
・ゆっくりと進行する慢性白血病
といった分類が存在します。
さらに、がん化した細胞の種類により細かく分類されるのですが、今回は池江選手も発症した急性リンパ性白血病についてお伝えします。

こんにちは、メディバリー大学病院です。
このブログでは医師監修の元で病気や健康について発信しています。興味をもたれた方はブックマークをしていただけると嬉しいです。

 

    1. 《急性リンパ性白血病とは?》
    2. 《急性リンパ性白血病の症状》
    3. 《自分では判断できない白血病》
    4. 《具体的な診断方法》
    5. 《急性リンパ性白血病の予後》
    6. 《急性リンパ性白血病の治療》
      • 〈寛解導入化学療法〉
      • 〈脳の治療〉
      • 〈地固め期と強化期〉
      • 〈維持期〉
    7. まとめ

 

《急性リンパ性白血病とは?》

急性リンパ性白血病は、本来は骨髄の中で血球になるはずのリンパ球という細胞が悪性に増殖し、正常な血球になる予定であった細胞を破壊し、入れ替わった状態を指します。白血病を発症された患者全体を見た時、その多くが60歳以上の方ですが、この急性リンパ性白血病に関しては小児に多くなっています。もちろん成人でも発症し、45歳以上になるとやや多くなりますが、15歳未満の白血病発症患者の割合が75%となっており、2~5歳の幼児に最も多くみられます。冒頭で触れた池江選手が発症した白血病もこの急性リンパ性白血病でした。

《急性リンパ性白血病の症状》

急性リンパ性白血病では骨髄が正常な血球を十分に生産できないことが原因となりさまざまな症状が現れます。初期症状として、以下のようなものが現れることがあります。 

〈1: 発熱や大量発汗を伴う感染〉
白血球は、通常体内に侵入してきた細菌やウイルスなどに対して免疫を構築し、戦う働きがあります。リンパ球もその白血球の一つであるため、急性リンパ性白血病を発症してしまうと正常な白血球が少なくなるため、免疫力が低下し、細菌やウイルスなどへの感染リスクが高くなります。

〈2: 赤血球が不足したことに伴う貧血〉
骨髄の中で正常な細胞が少なくなってくるため、赤血球があまりに少なくなると、脱力感、疲労感、蒼白(そうはく)が現れ、貧血になります。またそれと併せて呼吸が困難になったり、心拍数が速くなったり、胸に痛みが出たりする場合もあります。

〈3: 血小板が不足したことに伴う易出血性(いしゅっけつせい)〉
同様に血小板が極端に少なくなると、血をとめることができなくなり、あざや出血が生じやすくなり、ときには鼻血や歯ぐきからの出血がみられます。重症の場合、脳や腹部の中で出血が起きることもあります。

このほかにも全身の各臓器に白血病細胞が侵入することで、肝不全や腎不全を起こしたり、その他の臓器に損傷を与えたりします。白血病細胞が脳で増殖すると、頭痛、嘔吐、視力障害、脳卒中、平衡障害、聴力障害、顔の筋肉の異常がみられることがあります。また白血病細胞が骨髄で増殖すると、骨痛や関節痛を生じることがあります。さらに白血病細胞によって肝臓や脾臓が腫れて大きくなると、腹部膨満感や腹痛が生じることがあります。

《自分では判断できない白血病》

切り傷や骨折などのように、皮膚が切れていたり骨が変形していたりするとすぐさま受診できるのですが、白血病の症状は目に見えないところで悪化していくものがほとんどのため、なかなか「すぐに受診しよう!」とはなりません。なんとなく体調が悪い状態が続くことを不審に思って念のため病院に行ってみた結果、白血病と診断され、「実は発症からしばらく時間が経過していた…」というケースが少なくないのです。その診断にも血液検査や骨髄検査が必要となるため、この記事をご覧になって「自分の症状がもしかしたら白血病かもしれない…」と思う方は念のため受診することをお勧めします。

《具体的な診断方法》

しかしながら病院でどのような検査を行うのかわからない場合、「怖い病気であったらどうしよう…」「不安が勝ってしまって逆に受診できない…」ということもあると思います。そんな不安を少しでも解消できるように、どういった検査を行うのかについてもご紹介してきます。
まず、血球の数をはかる血算などの血液検査を行うことで、急性リンパ性白血病かどうかが分かります。白血球の総数は、減少している場合もあれば、正常または増加している場合もありますが、急性リンパ性白血病の場合は赤血球数と血小板数はほぼ必ず減少します。さらに、血液中に極めて未熟な白血球である芽球がみられます。その血液検査で疑いが高くなるとほとんどの場合、「骨髄検査」を行って他の白血病との鑑別を行い、急性リンパ性白血病の診断を確定します。さらに、治療方法を決定するために芽球を検査して染色体異常を調べます。「異常」という言葉が不安感を与えてしまいますが、これは白血病の正確な種類を特定し、治療に使用する薬剤を選択するのに役立つ検査になります。
そのほかにも尿検査や、CT・MRI などの画像検査もおこいます。その結果、脳に白血病細胞が進展していることを示す所見があれば、造影CT・造影MRI検査を追加することもあります。その後も、胸部CT検査、腹部CT・MRI検査、超音波検査など病状に併せて行っていきます。白血病の症状が多岐にわたるため検査の数が多くなってしまうのですが、検査が多ければ多いほど不安も大きくなると思います。しかし、これらは全て正しく効果的な治療のための検査ですので、「多くの検査を受ける可能性がある」ということを知っておいてください。

《急性リンパ性白血病の予後》

予後とは、簡単にいえば「経過の見通し」のことです。急性リンパ性白血病は軽い病気ではありません。最近の化学治療を中心とした治療が確立されていないころにはほとんどの患者が診断から数ヶ月以内に死亡していたほどで、テレビや映画の影響などもあって不治の病というイメージを保たれている方も多いと思います。
しかしながら現在では、小児の80%、成人の30~40%近くの方が根治できる状況になってきました。とはいえ現在でも乳児、高齢者での急性リンパ性白血病発症は命を失うリスクが未だに高く、幼児や成人の患者にとっても楽観視できる病気ではありませんので、今後も治療課題の多い病気であることは間違いありません。

《急性リンパ性白血病の治療》

急性リンパ性白血病に対しては次のような治療を行います。

・化学療法
・その他の薬物療法(免疫療法や分子標的療法など)
・造血幹細胞移植または放射線療法

 化学療法は非常に効果的で、以下の段階に分けて行われます。

・寛解導入期
・脳の治療
・地固め期および強化期
・維持期

〈寛解導入化学療法〉

寛解導入化学療法が治療の最初の段階です。寛解導入化学療法の目的は「白血病細胞を破壊して骨髄中で再び正常な細胞が成長できるようにし、寛解へと導くこと」です。骨髄が回復する速さにもよりますが、数日から数週間の入院が必要になる場合があります。様々な薬剤の組合せがあり、検査結果によって判明した最も効果的な薬剤の組み合わせを数日から数週間にわたって繰り返し投与します。参考までにご紹介しますと、「ステロイドの一種を経口で投与し、アントラサイクリン系薬剤とアスパラギナーゼ、ときにシクロホスファミドとともに、ビンクリスチンなどの抗がん剤を週単位で静脈内投与する」というものがあります。専門用語が並びすぎて分かりずらいと思いますが、このような治療を受ける方にとっては大事な情報かと思い紹介させていただきました。
一部の急性リンパ性白血病患者では、
・患者自身の免疫系を利用してがん細胞を死滅させる「免疫療法」
・がん細胞に固有の生物学的な仕組みを攻撃する「分子標的療法」
などの新しい薬剤が使用できます。

〈脳の治療〉

脳の治療は、通常は寛解導入期に開始し、治療の全期間を通じて継続することがあります。なぜなら、急性リンパ性白血病は脳に広がる可能性が高く、手足の麻痺や呂律障害など、脳の機能を損なう可能性があるためです。脳に広がった白血病細胞を治療したり、白血病細胞が脳に広がらないように予防したりすることに重点がおかれます。
ここでも治療方法の一例を紹介しますと、「脳と脊髄を覆う髄膜の中に白血病細胞がある場合、通常メトトレキサート、シタラビン、コルチコステロイドを組合せて脳脊髄液髄液の中に直接注入したり、静脈から投与する」ことがあります。この化学療法とともに、脳への放射線療法を行うこともあります。

〈地固め期と強化期〉

地固め期と強化期では、引き続き骨髄の病変を治療します。別の化学療法薬、または寛解導入療法で用いたものと同じ薬剤を、数週間にわたって数回投与します。白血病細胞に特定の染色体変異がみられるために再発のリスクが高い人に対しては、寛解が得られれば造血幹細胞移植を行うこともあります。

〈維持期〉

この後さらに、薬剤の種類や用量を減らした維持化学療法を通常2~3年続けます。
基本的な治療の流れはこのようになりますが、高齢の急性リンパ性白血病患者様は、若い患者様に用いられるような強力な投薬計画に耐えられない可能性があります。その場合、寛解導入のためのより穏やかな投薬計画のみを採用することが選択肢になります。ときに一部の高齢患者では、免疫療法や穏やかな造血幹細胞移植が選択肢になることもあります。

まとめ

今回は白血病の中でも急性リンパ性白血病についてお送りしました。そもそも白血病は、普段は赤血球の色で赤く見える血液が、白血病細胞がどんどん増え続けて血液が白く見えることから「白血病」という名前がつきました。現在の医学ではすぐに血液検査ができますので、血液が白くなるまで白血病の診断がつかないことはほとんどありませんので、白い血を見ることはなくなりました。白血病は大まかに分けると「急性と慢性」「リンパ性と骨髄性」の組み合わせがあり、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病の4種類に分けられます。残りの3つに関しては、また折をみてご紹介させていただきます。

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【参考文献】

・日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_1...
・医療情報科学研究所 編集.薬がみえるvol.3.メディックメディア.2016

【監修医師】

  1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
  2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/