【クレプトマニア】万引き癖が抜けないのは病気です【窃盗症】

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4600億円

 

これはなんの数字か分かりますか?

実はこれ、万引きによる1年間の被害総額の値です。

1年間に万引きによって4600億円もの被害がでているのです。

 

それではなぜこんなに巨額の被害額になってしまうのでしょうか?

それは、万引きをする人というのは、万引きを繰り返してしまうからです。

「万引きは犯罪」ということはわかっているけどやめられない、そんな中毒症状のような状態に陥っているのです。

今回は万引きをしてしまう人、万引きをやめられない人の心理状態を医学論文を使ってお話しします。

 

  1. 万引きとクレプトマニア
  2. クレプトマニアを引き起こす3つの特徴とは
    1. 過剰なストレス
    2. うつ病
    3. 摂食障害
  3. どんな人がクレプトマニア?
  4. クレプトマニアの治療法
  5. まとめ

 

万引きとクレプトマニア

商品の代金を払わずに自分の物として持ち去る行為万引きと言います。

万引きを行う理由はその人によって様々ですが、心理的には年代別で傾向が分かれていると言われています。

 

万引きはれっきとした犯罪です。

万引きは窃盗罪に該当し、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科される可能性があります。 

 

犯罪行為ということを理解しているのに、万引きのスリルがたまらなくなり、常習化してしまう人がいます。

それをクレプトマニア、窃盗症(せっとうしょう)と呼びます。

クレプトマニアとは万引きを働く理由が、その商品が欲しいからではなく、万引きをする際に感じる緊張感と万引き後の開放感の精神の抑揚に刺激を感じることを欲する状態になる精神疾患の一つです。

万引きがバレて捕まり、窃盗罪として罰せられたとしても、その人の精神的な部分に万引きの原因があるため、再度万引きを行なってしまうことが特徴です。

 

以前は有名なスポーツ選手が実はクレプトマニアで、万引きを行い逮捕されるというニュースが取り上げられたこともありました。

クレプトマニアという言葉は、あまり聞かないとは思いますが、身近な人が発症する可能性もある、軽視できない精神疾患と言われています。

クレプトマニアを引き起こす3つの特徴とは

先ほどもお伝えしましたように、クレプトマニアは精神疾患の一つです。

クレプトマニアはその人の精神状態と深い関わりがあると言われ、その原因は大きく分けて3つあります

それでは、それぞれの原因について考えていきましょう。

過剰なストレス

仕事や家庭環境などで過剰なストレスがかかり、クレプトマニアを発症してしまうことがあります。

適度にストレスを発散していれば避けることができますが、そのストレスをどんどん抱え込んでしまうと、クレプトマニア以外にも抑鬱状態、更にはうつ病の発症リスクも高まってしまうため、ストレスには注意が必要です。

ストレスが溜まっていると感じた場合は、適度に休息をとったり、運動するなどしてリフレッシュすることを心がけましょう。

以前いくつかストレスの効果的な発散方法について医学論文をもとにご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


うつ病

上記で紹介したような過剰なストレス、過激なダイエットなどが原因でうつ病を発症することがあります。

うつ病の状態だと、適切に治療されていなければ精神的に不安定な状態になるため、うつ病発症中にクレプトマニアを併発してしまうことが知られています。

もしかしたらうつ病かもしれない、と疑うような症状が現れた場合は、医師の診断の上で抗うつ薬を正しく服用しましょう。

うつ病をしっかりとコントロールすることがクレプトマニアの発症確率を下げることにつながります。

摂食障害

実は拒食症過食症といった摂食障害を持っている患者さんはクレプトマニアを併発するリスクが高いことが知られています。

ある報告では、2008年からの約5年間に確認された約600件のクレプトマニア症例のうち

 

  • 女性: 5割弱
  • 男性: 1~2割
  • 全体: 4割程度

 

摂食障害を合併していたことがわかっています。

どんな人がクレプトマニア?

クレプトマニアは日本だけの病気ではなく、世界各国の人々がかかります。

そのため、世界基準でクレプトマニアの診断基準が存在します。

アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5に「窃盗症」と記載されている精神疾患が該当します。

医療機関ではこの診断基準を参考にしてクレプトマニアかどうかを判断します。

DSM-5におけるクレプトマニアの診断基準は以下の5項目です。

 

  1. 個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗ろうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される
  2. 窃盗に及ぶ直前の緊張の高まりを感じる
  3. 窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感を感じる
  4. その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。
  5. その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。

 

ところが、実際にこの5つの基準を全て満たしているクレプトマニアの人はほとんどいないと言われています。

そのため、診断にあたってはこの5項目を診断基準として、精神科の先生が十分な問診を行い総合的に判断されるケースが多いと言われています。

クレプトマニアの治療法

クレプトマニアは、一般的な精神疾患の治療と同じで、精神科の先生の診断の元、適切な治療が必要です。

現代の治療法として

 

  • 抗精神病薬の内服
  • 洞察指向的精神療法
  • 精神分析

などが有効と言われています。

一般病院の精神科やクレプトマニアの診断・治療に精通した医師に診断してもらい、医師の指導のもと正しくクレプトマニアの治療を行いましょう。

クレプトマニアは精神疾患なため、法的に罰せられたところでその精神疾患を治療しないと再発してしまうことがほとんどです。

また、治療自体も患者さん自身の自発性が求められるため、思うように治療が進まないこともあります。

完全にクレプトマニアを克服するためには、「自分を変えたい!」という強い意志が必要で、それを達成するには、時には周囲の人の助けや理解が大いに役立つことがあります。

まとめ

この記事を見た方は「万引き=悪」で終わらせるのではなく、万引きの裏に隠された心のくるしみを見抜き、時には手助けをしてください

そして万引きを繰り返し苦しんでいる人がいたら、いますぐ、精神科を受診し助けを求めてください。

社会は絶対にあなたを見放したりはしません。

 

いかがでしたでしょうか。

今回は万引きする人の心の病気をお伝えしました。

このブログでは様々な医学情報をお伝えし、みなさんの医学知識を増やすお手伝いをしています。

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ありがとうございました!

【参考文献】

  1. McElroy SL, Keck PE, Phillips KA. Kleptomania, compulsive buying, and binge-eating disorder. The Journal of clinical psychiatry. 1995.
  2. McElroy SL, Hudson JI, Pope HG, Keck PE. Kleptomania: clinical characteristics and associated psychopathology. Psychological Medicine. 1991 Feb;21(1):93-108.
  3. Grant JE, Kim SW. Clinical characteristics and associated psychopathology of 22 patients with kleptomania. Comprehensive Psychiatry. 2002 Sep 1;43(5):378-84.

【監修医師】

  1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
  2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/

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