【真実】学校の始業時間が学生の体には不適切問題

Medivery


皆さんは学校の始業時間が早すぎると感じたことはありますか?

朝8時半に登校しようとすると、朝目覚めて、支度して、ご飯を食べて…と考えると7時には起きる人が多いのではないでしょうか?

 

実は、最近の研究によって“学校の始業時間は子供達にとって早すぎる”という調査結果がわかってきたのです。

今回は学校の始業時間が早いことで生じる学生達の体への影響を科学論文を使ってお話しします。

「俺の時間を返せ〜」って文科省へ抗議したくなる気持ちは抑えて最後まで、ご覧ください。

 

  1. 始業時間を遅らせると体内時計の調整がうまくいく
  2. クロノタイプの研究結果
  3. 学校の開始時間を遅らせると学生のパフォーマンスは上がった!
  4. モニター結果
  5. まとめ

 

始業時間を遅らせると体内時計の調整がうまくいく

年齢や性別による睡眠パターンの違いは各国で調査されており、アメリカでも研究され続けてきました。

そして最近の研究では、夜型生活を送る人のピークは18~19歳にあるため、学校の始業時間を遅らせることで、学生の睡眠や体内リズムの調節に役立つかも知れないと言われています。

 

科学雑誌PLOS ONEに掲載された研究では、2003~2014年に実施された「アメリカ生活時間調査(ATUS)を分析して、アメリカ人の朝型、夜型を決めるクロノタイプ年齢や性別によってどのように違うのかが大規模調査によって判明しました。

ちなみに、クロノタイプとは個人の体内時計の種類を示す言葉で、このクロノタイプを調べることで朝型 or 夜型をきめることができます。

クロノタイプの研究結果

その結果

 

  • 夜型傾向のピークは18~19歳にあり、その後は年齢とともに朝型にシフトする
  • 40歳までは男性の方が女性より夜型の傾向が強い
  • 男女ともクロノタイプの個人のばらつきは15歳から25歳の間に最大になり、その後は年齢とともに減少する

 

といったことがわかりました。

この結果から

 

「多くの高校は8時30分以前に始まることを考えると、一般的な高校生は7時前後に起床しなければならず、生物学的には夜の状態で登校しなければならない」

 

ということが判明しました。

学生にとって睡眠は重要なので、単純に体内時計がちょうど目覚める時間に始業時間をずらしてあげれば、学校の授業にもより身が入ると考えられます。

 

この調査結果から“18~19歳以降の年齢層”は朝方に戻ってくることも分かっているため、全年齢層にわたって始業時間を遅めにシフトさせることはよくないと考えられますが、学生だけでも始業時間を遅らせてあげることで勉強効率や研究効率にいい影響を期待できると考えられます。

学校の開始時間を遅らせると学生のパフォーマンスは上がった!

また、ある別の研究で「実際に始業時間を遅らせることで学生の成績が上がる」ということが明らかになっています。

シアトルのある学区は2016年の秋から高校の始業時間7時50分から8時45分に変更しました。

この機会を利用し、2つの高校2年生の生徒を対象に、生物学の授業の一環として実験を行ってもらったのです。

 

被験者となった高校生たちは2016年春・2017年春に、それぞれ6週間にわたって腕時計型の活動モニターを着用しました。

すなわち 2016年は始業時間が 07:452017年は始業時間が 08:45 ということになります。

そのモニターを使用して眠る前起きた時に睡眠の時間を記録しました。

またその高校生に対し、睡眠日記を記録してもらったり日中の眠気についてのアンケート調査も実施しました。

 

モニター結果

この実験の結果、2017年の春には高校生の睡眠時間平均 1日34分長くなっていることが示され、これにより学生たちの睡眠時間は理想に近づいていると研究者は報告しています。

そして、生物学コースの生徒の成績の中央値は、前年のクラスより4.5%高くなったことも示されました。

この“成績の上昇”“睡眠時間が長くなったこと”の関係性はまだはっきりとしていませんが、論文の中では「休息をしっかり取り、注意力の高い生徒の学業成績がより高くなるのは、合理的なことだ」と結論づけられていました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

この研究結果からわかることとしては、「自分に合った睡眠時間を確保する」ということより、「年齢に応じた時間的な活動パターンがある」ということであり、「その時間的な活動パターンに合わせた活動をすることでパフォーマンスが上がる」ということです。

簡単に言えば、

 

「高校生、大学生は夜型であり、朝は遅めのパターンがよい」

「その年代以外は朝方中心の生活がよい」

 

というイメージです。

今回は学生の始業時間にフォーカスが当たっておりますが、最近は社会人も朝早く活動する傾向があるようです。

大学を卒業したばかりのフレッシュマンは注意が必要かもしれません。

「朝活」などという言葉もあるようですが、その活動が自分のクロノタイプに合っているかどうかが重要です。

一概に「朝早ければいい!」という訳ではないのですね! 

逆に夜型は科学的には決して、悪いことではないとも言えますね。

昨今のリモートワークの出現により、時間的にもだいぶフレキシブルな働き方が広まりつつあるように思いますが、多様な人々最高のパフォーマンスを発揮できる社会基盤が整えばいいですね!

 

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【参考文献】

  1. Fischer D, Lombardi DA, Marucci-Wellman H, Roenneberg T (2017) Chronotypes in the US – Influence of age and sex. PLoS ONE 12(6): e0178782
  2. BEHAVIOR & SOCIETY The One Change That Boosts a High School’s Academic Performance A study in Seattle shows the power of starting the day later: Gireesh A, Das S, Viner RM
  3. Dunster, Gideon P., Luciano de la Iglesia, Miriam Ben-Hamo, Claire Nave, Jason G. Fleischer, Satchidananda Panda, and O. Horacio. "Sleepmore in Seattle: Later school start times are associated with more sleep and better performance in high school students." Science advances 4, no. 12 (2018): eaau6200.

【監修医師】

  1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
  2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/

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