認知症はアルツハイマーだけではない?!血管性認知症とは?

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脳は、人のからだ全体をコントロールしている、とても大切なところです。呼吸や睡眠といった意識していない活動から、学ぶ、運動するといった高度な活動まで、人間のあらゆる活動をコントロールしています。認知症は、脳の細胞がさまざまな原因で減少したり、働きが悪くなったりすることによって、記憶や判断力の障害などが起こった状態です。認知症になると、ごはんを食べたことを覚えていない、自分のいる場所がどこなのかわからない、できたはずのことができなくなるなどの症状が出てきます。
ちなみに「認知症」は、病気の名前ではありません。「腹痛」や「頭痛」のように症状のことを言い、「物忘れがひどい」「今日が何日かわからない」などの症状をいくつも合わせたもののことです。  日本人の65歳以上の認知症患者数は推計で約602万人とされていて、これは高齢者の約6人に1人が認知症ということになります。また、65歳未満でも認知症になり、こちらは3.57万人が認知症とされています。65歳以上と65歳未満、どちらも「アルツハイマー型認知症」が一番多く、次に「脳血管性認知症」という認知症が多いです。アルツハイマー型認知症は、脳の中で、ある特定のたんぱく質が増えてしまい、それが原因で脳の神経細胞が死滅して、減っていくことで起こる認知症です。脳血管性認知症は、血管の病気によって脳の血管が詰まったり出血してしまい、細胞に血が送られなくなることで、細胞が壊死してしまうため、本来細胞が担っていた機能を失うことによっておこる認知症です。血は酸素と栄養を運んでいるので、血を届けられないと細胞が壊死してしまうのです。
今回の記事では「脳血管性認知症」について、症状やリハビリなどの治療について解説します。

こんにちは、メディバリー大学病院です。
このブログでは医師監修の元で病気や健康について発信しています。興味をもたれた方はブックマークをしていただけると嬉しいです。

 

    1. 脳血管性認知症の発症まで
    2. 脳血管性認知症の原因
    3. 脳血管性認知症の症状
    4. 脳血管性認知症の特徴
    5. 脳血管性認知症の進行
    6. 脳血管性認知症の治療法
    7. ご家族様など、ともに生きる方へ
    8. ご本人との歩み方
    9. まとめ

     

      脳血管性認知症の発症まで

      人間の脳には大小限らず大量の血管が張り巡らされていて、その血管を通じて脳が必要とする栄養や酸素が運ばれています。脳梗塞や脳出血などによってその血の流れが止まると、その先の脳細胞が死滅しますが、死滅した範囲の大きさ、また死滅した部位に応じてさまざまな症状があらわれる事になります。その症状の一つが、脳血管性認知症です。
      2021年現在、脳血管障害(脳卒中)に関する治療技術は進歩しており、脳血管性認知症の患者数も減少してはいますが、未(いま)だ認知症患者の4分の1以上は脳血管性認知症であると言われており、またアルツハイマー型認知症を同時に発症しているという患者さんというのも少なくありません。

      脳血管性認知症の原因

      血管の病気を引き起こす原因の多くは「動脈硬化」です。動脈硬化の危険因子として、このブログでもお馴染みの高血圧、糖尿病、心疾患、脂質異常症、喫煙などがあります。つまり、脳血管性認知症は、生活習慣によって引き起こされるとも言えます。また、女性よりも男性のほうが多く発症しやすいと言われています。

      脳血管性認知症の症状

      脳血管性認知症の症状は、大きく分けて3つあります。

      ・物忘れなどの「記憶障害」

      ・時間や場所、人物などをうまく認識できなくなる「見当識障害」

      ・計画的に物事を実行することが難しくなる「実効性機能障害」

       これらはアルツハイマー型認知症でも同じような症状が見られますが、脳血管性認知症に特有の状態があります。

      脳血管性認知症の特徴

      運動麻痺、知覚麻痺、言語障害などの併発

      死滅した脳細胞の部位によってその機能を損なうため、認知症の症状以外にもさまざまな症状を併発させることがあります。

      できることとできないことの差が大きい

      障害をうけていない部位の機能は保たれるため、できることとできないことの差が大きいです。

      1日の中でも症状の変化が大きい

      同じ日の中であっても、朝できたことが夜できなくなるというように、症状が著しく変化します。

      悲観的になりやすい

      脳血管性認知症の場合は「できること、理解できること」と「できないこと、理解できないこと」の差が激しく、ご自身でマイナスの変化を自覚できることも多く、つらく感じることが多くなります。

      うつなどの併発

      うつや無気力、妄想、幻覚、暴言、暴力といった言動や心理的な症状が出てくることもあります。

      脳血管性認知症の進行

      アルツハイマー型認知症は徐々に病状が進行するのに対して、脳血管性認知症は脳血管障害が再発するごとに病状が悪化し、そして脳機能も低下していきます。

      初期段階

      脳血管障害を発症後、身体的な治療が終わり落ち着いた段階で、まず物忘れなどの症状が見られ始めます。本人も自覚し、周囲も徐々に物忘れなどが起こり始めたことに気づきますが、症状には波があることと、障害を受けなかった機能は健常時のままであることから、「病み上がりだから調子が悪い」という感覚が優先し、ご自身も周りの人も認知症であることを見落としてしまうことがあります。

      中期段階

      脳血管障害の再発や転倒の事故などがなければ、急激に悪化するということがないという大きな特徴があります。そのため、運動麻痺、知覚麻痺などによる転倒に気をつけたり、水や食べ物を飲み込む力が落ちているので、食べ物が間違って気管に入ってむせないように気をつける必要があります。
      これらのことに気をつけて、リハビリテーションに取り組みながら、再発防止を念頭に行動していくことが重要となります。

      脳血管性認知症の治療法

      治療では、脳血管障害の再発を防ぐことが大切になります。脳血管障害は動脈硬化によっておきてしまうので、改善するために食事に気をつけたり、運動を取り入れたり、禁煙するといった生活習慣の見直しが重要です。

      薬による治療

      脳で血のかたまりが詰まってしまうのを防ぐために、血液をサラサラにする「抗血小板薬」「抗凝固薬」を使うことがあります。また、血糖値の高い人には「血糖降下薬」を、高血圧の人には「降圧薬」などの薬を使用します。症状が出始めの頃には、ご自身で症状を自覚されることで気分が落ち込んだり、無気力になることがあるため「抗うつ薬」が使用されることもあります。

      リハビリテーションによる治療

      リハビリは、医療機関やデイサービスなどに通って、理学療法士などの専門家に指導してもらう方法や専門家が自宅に来て行う「訪問リハビリテーション」があります。
      脳血管障害ではさまざまな症状を併発しますが、特にものを飲み込む「嚥下機能(えんげきのう)」の低下は肺炎発症の原因となります。唾液や食べ物を飲み込むときに誤って気管に入ってしまい、むせることで肺炎に繋がってしまうのです。また、手足の麻痺などの運動障害や、ろれつが回らないなどの言語障害を併発することも多いため、機能回復のためにリハビリが大切になります。

      ご家族様など、ともに生きる方へ

      脳血管性認知症の方にとって大きな課題になるのが、転倒防止です。後遺症による運動麻痺、知覚麻痺は、普段の生活と感覚が大きく変わってしまうため、ほんの小さな段差などでも転倒してしまうことがあります。それを防止するためにも、できれば手すりやスロープといった福祉用具を整えるようにしましょう。この手すりがあることで、ふとした瞬間にご本人の気持ちを支え、その後の希望へとつながります。

      ご本人との歩み方

      最後にお伝えしたいことは、周りの人がどう脳血管性認知超の方と歩んでいくか、ということです。

      重視していただきたいのは

      ・生活改善やリハビリは長期的視野で行う必要があることを理解する

      ・短期回復の期待を持たない

      ・失語や麻痺によって会話がスムーズに行かないことを理解する

      ・能力が衰えたことによる苦しみを理解する

      ・本人のできなくなったことを周りが責めない

       といったことです。
      脳血管性認知症の方が生きるためには、さまざまなサポートが必要です。地域包括支援センターなどの行政サポートに相談してみたり、介護サービスを検討していただき、あまり頑張りすぎず長期的な視点で歩むことが大切です。

      まとめ

      メディバリー大学病院では、コメント欄で記事にして欲しい内容も募集しています。健康や原因不明の症状で悩んでいる事があれば、ぜひ、コメント欄でお知らせください。
      この記事がためになった、面白いと思った方は、高評価とブックマークをしていただけますと、今後の活動の励みになります!最後までご覧になっていただきありがとうございました。

      【参考文献】

      1. 公益財団法人 長寿科学振興財団 https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/nou-kekkansei.html
      2. 日本脳卒中学会 脳血管性認知症 https://www.jsts.gr.jp/guideline/267_270.pdf

         参考               https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/basic/cerebrovascular/

        【監修医師】

        1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
        2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/

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