【驚愕】脳は直接触っても痛みを感じないって知ってましたか?

Medivery


こんにちは、メディバリー大学病院です。
以前の記事で「覚醒下脳腫瘍摘出術」という脳の手術についてお伝えしました。その中で、次の様な質問をいただきました。
「脳って触っても痛みを感じないんですか?」

今回はこの疑問についてお答えしていきます。
このブログでは医師監修の元で病気や健康について発信しています。興味をもたれた方はブックマークをしていただけると嬉しいです。

 

    1. 本文
    2. まとめ

     

      本文

      結論から言いますと頭痛を感じているのは脳ですが、脳自体が痛むことはありません
      脳腫瘍摘出などで脳実質(いわゆる脳みそ)に大きな穴が開くほどの手術になるとどんなに痛いだろうと思われる方がいると思います。脳は神経が集まっている集合体だから少しでも触るととても痛いのではないかと思いがちですが、実は脳実質は痛みを全く感じることはありません。脳の手術をしていると、脳みそ自体は麻酔も何もせずに針でつついても全く痛みを感じないのです。
      では「頭が痛い」とはどのような状態なのでしょうか。それは脳みそを包んでる様々な組織が痛みを感じているのです。
      頭皮やその直下にある顔面や頭部の筋肉、骨との付着している腱、あるいは頭蓋骨の表面を覆っている骨膜という薄い膜などが痛みを感じます。また頭蓋骨の内側にあって脳を包んでいる厚くて硬い膜、いわゆる硬膜も、痛みを感じる組織として知られています。
      また脳を栄養を運ぶ血管も痛みを感じることが知られています。硬膜の内側には、もう一つ「くも膜」という薄くて頑丈な膜があり、その膜の下に脳を循環する動脈があります。これらの動脈のうち脳の深部にある太い動脈の壁は痛みに対して非常に敏感ですこれに反して、脳実質、いわゆる脳みそは痛みを全く感じることがありません
      そのため我々脳神経外科医は、局所麻酔薬を使って皮膚から硬膜までの脳の外側を包んでいる組織を麻酔すれば、全身麻酔のように脳の組織を麻酔してしまうことなく、脳の手術を行うことが出来ますこれが覚醒下脳腫瘍摘出術を可能にしているメカニズムです。
      このメカニズムから考えると、「頭痛」という症状は、脳そのものの破壊で起こることはないことも分かります。
      脳腫瘍やくも膜下出血など、脳にダメージを与える重大な病気が頭痛を起こすことは事実ですが、これは脳にダメージが起きたから頭が痛むのではなく、腫瘍が大きくなって腫れてくるため、また出血によって脳を包んでいる膜が引っ張られたり、もれ出てきた血液で脳の動脈の壁が刺激されたりして痛みを感じているのです。

      次に脳が痛みを感じる神経の伝達経路について考えていきます。
      頭を構成する組織である皮膚、筋肉、腱、骨膜、硬膜、脳動脈のどれからであれ、頭の領域で感じられる痛みの感覚は、全て三叉神経という神経によって感じとられ、脳に運ばれます。三叉神経はおおまかに、おでこから目、目と口の間のほっぺ、口から下のあご、というふうにみつまた(三叉)に分かれている神経です。
      脳の中に伝えられた三叉神経からの痛みの情報は、いったん脳内から脊髄にまで外に出たのちに、再度大脳に伝えられる経路を取ります大脳に伝えられて初めて、我々は痛みを自覚することになるのですが、この時硬膜や脳動脈に由来する痛みの感覚情報は、痛みを自覚することはできても、頭のどの部位から来た痛みであるかを判別することが難しい仕組みになっているのです
      また、三叉神経はいったん脊髄にまで降りていくという特徴から、頭の痛みが首の痛みとして感じられることもあります

      つまり頭痛という症状に関しては、痛いと感じる場所に痛みの原因があるとは限らないのです。眼や鼻、耳そして口の病気でも最初のうちは頭痛として感じることが多く、我々脳神経外科医は患者さんが「頭が痛いです」とおっしゃった場合、脳の検査だけでなく頭全体や首、肩の病気にも気を配る必要があるのです。

      まとめ

      いかがでしたでしょうか。
      今回はみなさんが疑問に思う「脳って触っても痛くないの?」という疑問に脳神経外科医がお答えしました。

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      【監修医師】

      1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
      2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/

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