【意外と知らない】急性脳症ってどんな病気か教えます【医師監修】

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「急性脳症」という言葉、聞いたことありますか?この病気は小さなお子さんに多く、風邪の症状や発熱、嘔吐、下痢などに加えて、意識障害やけいれんなどの症状が見られます。日本での発症者は年間で400〜700人程とされ、主に乳幼児や小児、特に0歳〜3歳に多い病気です。

こんにちは、メディバリー大学病院です。今回は、急性脳症とはどんな病気か、病院に行ったり救急車を呼ぶ目安についてお伝えします。
また、この記事は特に
・0〜15歳のお子さんがいる親御さんに見ていただきたい内容です。

このブログでは医師監修の元で病気や健康について発信しています。興味をもたれた方はブックマークをしていただけると嬉しいです。

 

    1. 《小児科でけいれんを起こす3大疾患の一つ》
    2. 《アジア圏で多く見られる急性脳症》
    3. 《急性脳症の症状》
      • 〈1、意識障害の発生〉
      • 〈2、けいれん〉
      • 〈3、嘔吐〉
    4. 《急性脳症の原因》
    5. 《ウイルス性の急性脳症》
    6. 〈ウイルス性の急性脳症の治療〉
      • 1, ステロイドパルス療法
      • 2, 免疫グロブリンの大量投与
    7. 《急性脳症の後遺症を防ぐために》
    8. まとめ

 

《小児科でけいれんを起こす3大疾患の一つ》

急性脳症は主に小児科で扱うことが多い病気の一つです。病状としては子どもの発熱とけいれん、ときに意識障害も起こします。同じような症状が出るご病気には「熱性けいれん」「髄膜炎」等があげられ、この症状で受診されたり搬送されたりするお子さんがいた場合、慎重な判断を要します。特に「けいれん時間が長い」「けいれんを何度も繰り返している」「けいれん後も意識の戻りが悪い」といった症状の場合はすぐに専門的な処置が必要です。それ以外の場合でも、入院していただき、その後さまざまな検査・経過観察・治療が必要となります。

《アジア圏で多く見られる急性脳症》

急性脳症は”世界全土で見られるものではない”という特徴を持っています。罹患者の多くはアジア圏で、欧米などではあまり発症しないという事実があります。その違いについて、アジア人が持つ「CPT2遺伝子」という遺伝子が着目されています。その遺伝子は「体温が高くなるにつれて遺伝子の働きが鈍り、脳内に悪影響を出す」という特徴を持っており、欧米人にはないこの遺伝子が急性脳症の発症に関与しているのではないか?と考えられています。

《急性脳症の症状》

ここで具体的な急性脳症の症状を見ていきましょう。

〈1、意識障害の発生〉

話しかけても反応がなく、意識が朦朧(もうろう)としている状態となります。他人から刺激を与えられてもなんら反応が返ってこなくなります。

〈2、けいれん〉

体が硬直し、手足が震えます。症状が強い場合は白目をむき、周囲の人が呼びかけても反応できません。

〈3、嘔吐〉

脳がむくんでしまうなどの原因で頭蓋骨内部の圧力が高まり、嘔吐する場合もあります。

この3つの症状を起こすことが多いですが、急性脳症では3つの中でも意識障害が特徴的になります。意識障害といっても程度はそれぞれで、「何をしても反応がないお子さん」もいれば、「声をかければ目は開けるが、ぼんやりとした状態で正確な反応ができないお子さん」もいるなど、一概に”どの程度の意識障害であれば急性脳症が疑われる”ということは明言できません。そのため、もしお子さんが普段と比べていつもの様子と違うと思われる場合には即座に救急外来を受診してください。

《急性脳症の原因》

厚生労働省が2010年に行った全国調査では、急性脳症の発症にはさまざまな原因が考えられると報告されています。この調査で全ての原因を突き止めたわけではありませんが、主な原因として

・インフルエンザウイルス

・突発性発疹(ヘルペスウイルス)

・ロタウイルスウイルス

・マイコプラズマウイルス

などのウイルス感染症が急性脳症を引き起こすと明らかにされました。
この中でも最も多いのがインフルエンザウイルスで、群を抜いて圧倒的に多い状況です。2番目に多いとされているのは突発性発疹ですが、確認できた件数はそこまで多いものではありませんでした。ここからはウイルス性の急性脳症について少し説明します。

《ウイルス性の急性脳症》

〈発症年齢〉
0歳から2歳に集中しており、特に1歳代の発症が最も多いとされています。

〈死亡率〉
恐ろしいことに、全体の 2%程度でお亡くなりになる患者様がいらっしゃります。

〈完治の確率、後遺症の確率〉
完治できる確率は約50%といわれており、半数は何らかの障害が残るといわれています。具体的な後遺症には

・知的障害
・運動性麻痺
・てんかん

などがあげられます。またウイルス性の急性脳症では脳の前頭葉にダメージを受けることが多いとされていて、前頭葉が担う

・自発性
・発語

といった知的能力に支障が生じる場合が考えられます。特に0歳から2歳は発達途中である言語面への影響が避けられず、知能・言語の発達の遅れが多く見られます。急性脳症はその度合いもそれぞれであり、後遺症も含め長期的に経過を観察していく必要があります。 

〈ウイルス性の急性脳症の治療〉 

ウイルス性の急性脳症は未だ効果的な治療が確立されていません。現在、急性脳症の治療として行われているのは次の2つの方法です。

1, ステロイドパルス療法

ステロイドパルス療法はステロイドを短期間で大量に投与するという治療方法です。ほとんどの場合、3日間かけて大量のステロイドを投与し、免疫系の調整や脳の保護を行います。急性脳症の治療ガイドラインに掲載されている第一選択の治療方法であり、現在行われている治療のなかでは最も有効とされている治療です。

2, 免疫グロブリンの大量投与

ウイルス性の急性脳症では、ステロイド以外に「免疫グロブリン」という薬剤を大量投与することによって治療することもあります。この治療には今の所明確な根拠はありませんが、他の有効な手だてがないこともありこの治療をステロイドパルス療法に併用して行なうことがあります。

《急性脳症の後遺症を防ぐために》

急性脳症は予防が難しい病気であり、誰もがかかる可能性のある疾患です。後遺症を防ぐためには早期発見・早期治療が必要です。近年、小さいお子さんのけいれんが熱性けいれんなどの単純な引きつけなのか、それとも急性脳症によるけいれんなのかを識別するためにいろいろな研究が行われています。しかし、現時点ではまだそれを明確に判断できる検査や要因ははっきりしていません。識別が可能になれば急性脳症の重症化に先行して治療も行えるようになり、後遺症を患う患者さんが少なくなるかもしれません。

まとめ

今回は様々な原因で起こりうる急性脳症についてお話ししました。急性脳症は特に小さな子供が発症することが多く、ウイルス感染が原因となり、普段は元気なのにある日突然熱が出てひどい時は全身を痙攣させたりするのでご両親は非常にびっくりされます。後遺症が残ったり最悪の場合死亡するケースもあり予後は決して良いものではありません。この記事がきっかけになりきちんと早期に病院を受診できる人が増えたら幸いです。

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【参考文献】

小児急性脳症診療ガイドライン 2016 https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/...
小児の急性脳炎・脳症の現状 http://jsv.umin.jp/journal/v59-1pdf/v...

【監修医師】

  1. Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス, 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji
  2. 小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/

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